オズの魔法使いを観て思い出しました。小津。昔何か観た覚えはあるけど何を観たかも覚えてないので初めてと言っていいでしょう。
初めてでいきなり最後のやつ。なぜならジャケの岩下志麻が美しいので。
カメラが動かない。会話も細かいカットの連続で不思議な感じ。
笠智衆さん演じる平山とうちゃんを中心に娘である岩下志麻さんが嫁ぐまでを、その周辺の人たちと絡ませながら淡々と進んできます。
そこに出てくる親父世代と息子の佐田啓二夫婦のありようがちょっと違ってておもしろい。
戦中戦後くらいはとうちゃんが家でイチバン偉い。それがひとつ世代が変わると共働き、言いたいことはちゃんと言う奥様、と描かれてます。
ウチはどうだろう。時代が進みすぎて僕の言うことはスルーされることもアリ。時代のせい?
奥様の岡田芽莉子、なんだかんだとブチブチ言いながら、二千円をハイ。かわいい。
ブドウ食べる?
明日食べる。
それ食べないパターンじゃん。プルーンなら食べたかも。
佐田啓二、ゴルフスイングがちゃんとしてて良いです。細かいとこですが、いややってねえだろホントは、って思うのつまんないもの。マクレガー、ジャックニクラスはマクレガーじゃなかったかな。
また、老いていって寂しい様子を実に見事に見せてくれるひょうたん先生。
ハモ食ったことないんか。よく食べるしよく飲むよ。
悪友つながりは年を重ねても変わらず。くだらんウソ合戦でコミュニケーション、無意識に絆を確かめ合ってるんです。
出てこい出てこい岩下志麻。画面を見ながらそう願わずにはいられないッ!すごくキレイです。
後輩のミウラくん絡みのシーン。
親子でボソボソ、どっちがミチコに伝えるか、と。そこにスッと入ってくる岩下志麻ミチコ。
笠智衆が、ミチコ、と呼びかけた瞬間の佐田啓二の視線に痺れた。行ったな親父、と目で言ってる。目で、頼んだ、と言っている。
戦争のモヤモヤをまだ抱えつつ進んでいく時代と、個人の老いや寂しさみたいな普遍的なことを、ゆるやかに包みながら流れていって何とも言えない余韻が。
買い物から帰ってきた妻に、
これ見てこれ、中井貴一のお父さんだよ!、って言ったのにスルーされました。
忙しかったんでしょう。