Luna

秋刀魚の味のLunaのレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
4.1
初めての小津安二郎。
それが本作となったのは、少し小説の結末から読んでいるような気持ちにはなる。

とにかく、心地よかった。
穏やかな台詞回し、決して劇的な展開があるわけではないけれど、実際にあったであろう日常を映す画。
女性陣の着物姿や、男性陣の成りを見ていると、祖父や祖母の影が脳裏を過ぎった。
懐かしい。

笠智衆の終盤の横顔には、私も父にこんな思いをさせるのだろうかと心が締め付けられる。

人生もまた、決して劇的でなくて良い。
夢を叶えるとか、英雄願望とか、そういうことは、結果に名前をつける作業であって、過程ではない。
人は、時として先に進みすぎる。
そんなことを思い出させてくれる映画だった。
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