YasuhitoArai

無人の野のYasuhitoAraiのレビュー・感想・評価

無人の野(1980年製作の映画)
4.5
ベトナム戦争後期の1972年。南ベトナム解放軍の連絡員の夫婦とその赤ん坊は、メコンデルタの湿地帯で活動するが、アメリカ軍はその地域を殲滅しようとし・・・という話。
モスクワ国際映画祭金賞受賞作品。

ベトナム側から描いたベトナム戦争映画。『地獄の黙示録』に比べて低予算でこじんまりしているけど、映される映像が充分に魅力的な映画だった。
低空飛行するヘリコプターの風が水面や水草を叩きつけ、舟を壊していく様の迫力、そして生活をする中で不意に聞こえるプロペラ音が、恐怖を感じさせる。低予算だけど、爆発はすごい。戦争で戦い合うというより、生活を脅かされているという感じがする。特に赤ん坊をたらいに入れて、水上を逃げていく時の緊迫感がすごかった。

湿地帯がロケーションとして魅力的。映画冒頭カメラが水上の草をなぎ倒していく演出は初めて見た、そしてそれがちゃんと意味を成していたのがすごいと思った。水上での生活なので、舟で集まっているシーンが新鮮で面白かった。舟の軍団が川から川へ映る時のロングショットが特に良かった。
オープニングもクレジットの出方とかがかっこ良かった。

亀をこれでもかと捕まえるシーンや、蛇を捕まえて生の蛇革を作るシーンが面白かった。あんな風に亀を捕まえてみたい。
戦争シーンの間の夫婦のいちゃつきシーンが心暖まる。
黒髪のベトナム人が演じるアメリカ人が味があって良い。
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