てつこてつ

十八歳、海へのてつこてつのレビュー・感想・評価

十八歳、海へ(1979年製作の映画)
3.5
1970年代~80年代のATGっぽいこういう作品は、独特の情緒や風情があって好き。これは、中上健次の小説を藤田敏八監督の手で映画化。

大学受験の予備校に通う若い男女が面白半分で始めた心中ごっこの結末は・・。タイトル通り、湘南、鎌倉の海の風景が美しい。

この時代のちょっと裏街道を進む感じの青年役として引く手数多であった永島敏行だが、この作品では、何と言っても、舌っ足らずな独特な喋り方が印象的な森下愛子が輝いている。必要なシーンでは脱ぐ事も厭わないいい女優さんだなあ。今も女優業は続けているのかな?

クライマックスの展開に挟み込まれる音楽が美しく、且つ、ある種残酷な青春物語に見事にマッチしたエレジーとして、いつまでも耳に残る。

この主人公カップルとは対照的なキャラクターで実直な生き方をしている青年役の小林薫もいいね。この作品公開後数年経ってからキャスティングされた山田太一脚本の連続ドラマ「ふぞろいの林檎たち」の中井貴一が演じる主人公の寡黙なお兄さん役、本当にハマってたなあ。
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