赤狩りの事が念頭にあるせいかエリア・カザンの自己弁護と取れなくもないが、ラストでボロボロになったテリーが取る行動には素直に感動させられた。ふらつく足下のアップやPOVの使い方も効果的で、自然とキャラクターに感情移入できる見事なシーンに仕上がっている。
そして若き日のスコセッシが大いに感銘を受けたというのも納得。裏切りや贖罪といった彼の作品とも共通するテーマを描いているから。『レイジング・ブル』でジェイクとビッキーがフェンス越しに会話をするシーンは『波止場』のオマージュだったのね。組合とマフィアの癒着という部分は、最新作『アイリッシュマン』とも繋がるなと思ってもみたり。