富山の刑務所で指導教官として働く主人公の倉島英二。亡くなった妻から遺骨を故郷の海に散骨してほしいという手紙を受けとる。妻の願いを叶えるために、長崎まで旅をするヒューマンドラマ。
2014年に亡くなった昭和の名優、高倉健の最後の主演作。彼の集大成とも言えるような、見ている人の心に染み込む味わい深いドラマに仕上がっていたと思います。
富山から1人で長崎まで旅をする英二。その道中で様々な人と会う。親切な教師と思ってた人が車上荒らしだったり、全国の物産展でいか飯を売る明るい青年も家庭の嫌な事情を抱えていたり、彼と同行する歳上の後輩社員も何か複雑な過去を持っている。
本作の土台はロードムービーで、このような人間同士の触れ合いもこのジャンルの大きな強み。そのドラマを彩るキャスト陣もビートたけし、草なぎ剛、佐藤浩市、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治など豪華な顔ぶれ。誰もが存在感をしっかり示していて、高倉健と見事に渡り合っていたと感じました。
そして旅先での景色の美しさも本作の大きな見所。立山連峰、竹田城跡、関門海峡、平戸の美しい海模様など、見たことがある場所でも改めてその素晴らしさに心奪われます。
終盤の佐藤浩市のエピソードはちょっと偶然にも程がある感じがありましたが、高倉健がラストで去っていくシーンには凄く余韻が残りました。数多くの作品で名演を見せてくれた方がこの場面で本当に最後と思うと、やはり胸に来るものがありましたね。
結果的に本作が高倉健の遺作となりましたが、最後を飾るに相応しい温かみのある大人のドラマだと思います。遅くなりましたが、この作品に至るまで本当にお疲れ様でした。そして多くの感動をありがとうございました。
