櫻イミト

愛のレッスンの櫻イミトのレビュー・感想・評価

愛のレッスン(1954年製作の映画)
3.0
これはコメディとして撮った。が、この映画は男女の間に関して、未だに決して解決されていない問題を描いているのである。――ベルイマン

ベルイマン監督が14歳差のハリエット・アンデルセン(本作では娘役)と愛人関係だった時代の3作目。日本では1966年にATG配給で公開。

「第七の封印」(1956)を放つ前のこの時期のテーマは”愛と性”に関する考察で、前作「道化師の夜」(1953)では悲哀劇として、本作は喜劇として、次作「夏の夜は三たび微笑む」(1955)では艶笑劇として描いている。

本作をハッピーエンドの喜劇として観てしまうと物足りない。さんざん夫婦間の愛に疑問を呈した上で、キューピット天使が丸く収めるというベタベタ演出で締めたのは、世に蔓延する愛の”型”への皮肉を込めているように思えた。
櫻イミト

櫻イミト