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愛のレッスンのpikaのレビュー・感想・評価

愛のレッスン(1954年製作の映画)
4.0
「神の沈黙」や「生と死」という重厚でヘビーなテーマに、ユーモアやコミカルさを散りばめてくる見事な凄技を持つベルイマン監督によるロマンティック・コメディはひと味もふた味も味わいが違う。
次作「夏の夜は三たび微笑む」の主演が同様に共演しているし試作品のような印象。

シーンの切り替わりに荒さはあるが、シーンひとつひとつがニクらしいほど面白い。
ウィットに富んだ台詞や、悲劇から喜劇になだらかに変遷していく展開が堪らなく魅力的。この試行が「夏の夜は〜」で完璧な完成度で昇華するとはさすがベルイマン。

キャラクターの心情や感情を見せるのではなく単に男と女の恋愛観を表現している印象なので奥深さがあるわけではないが、普遍的で誰もが心に持つ感情を表現していること自体に意味があり、自分を投影させたり端々に散りばめた目がさめるようなインパクトを持つ台詞によって重ね合わせて考えさせる側面もある。

そんなことを思考しつつも終始一貫してコミカルな雰囲気を保つベクトルは好感が持てるし、その中で大きな輝きを放つグンナール・ビョルンストランドの素晴らしい巧みな演技と個性的なキャラクター性がとにかくマッチしていて、作品自体の魅力を高めている物凄い存在感が大好きです。
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