ボブおじさん

アメリカン・ジゴロのボブおじさんのレビュー・感想・評価

アメリカン・ジゴロ(1980年製作の映画)
3.6
アルマーニのスーツに身を包み、黒のベンツを颯爽と乗り回し、高額の報酬と引き換えに束の間の夢と快楽を裕福な女性たちに与える、一流のジゴロ ジュリアンを売り出し中の若手リチャード・ギアがエレガントに演じる。

監督・脚本は、「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」の脚本家ポール・シュレイダー。華やかな世界に身を投じながらもどこか影のある主人公の人物造形が、いかにもこの脚本家(兼監督)らしい。

陰りのある主人公と全体を包み込むノワール感は、同じく監督・脚本を手掛け今年公開された「カード・カウンター」や「魂のゆくえ」(2017)にも共通する。

リチャード・ギアが、とにかく若くてカッコいい。プロに徹してストイックに自分を追い込むその姿に、若い頃は憧れた。特に逆さ吊りからの腹筋とかクローゼットに整然と並ぶ中からスーツやネクタイを選ぶシーンとか😅

映画と共に印象深いのは、ブロンディによる主題歌「コール・ミー」。この曲も大ヒットした。



〈余談ですが〉
ポール・シュレイダーといえば、若い頃に劇場で観て衝撃を受けた「タクシー・ドライバー」と「レイジング・ブル」の印象が強い為、監督としてよりも脚本家としての彼を評価してしまう。

そういえば今年観た同監督の「カード・カウンター」のラストもどこかで見たことあるなと思ったけど、この作品だったか😊

この映画の主人公、当時はジョン・トラボルタが予定されていたらしいが、母親の病気などの関係で断ったらしい。代わりに選ばれたギアは、本作を足がかりに主演した次回作「愛と青春の旅立ち」が大ヒット。たちまちスターの仲間入りを果たした。

ところが何とこの若き士官の役もトラボルタが、オファーを断った為に、ギアに回ってきたらしい。トラボルタのインタビューでは少し後悔もしているような口ぶりだった。

トラボルタは、その後低迷期を迎えるが、「パルプ・フィクション」で見事に復活。以降2人とも役に恵まれているので、まぁ恨みっこ無しか😊

〈更に余談ですが〉
昔、歌舞伎町に新宿ジゴロと呼ばれる伝説のホストがいて、テレビや雑誌でも取り上げられていた。子供の頃だってので記憶も定かでないが、確か得意技が〝添い寝〟だったと記憶している。
※後から考えれば、これはこれでスゴイのだが😅

数年後、「アメリカン・ジゴロ」の登場に、やっぱアメリカのジゴロはカッコいいなと思ったことを思い出す😊