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僕の彼女を紹介しますのtakのレビュー・感想・評価

僕の彼女を紹介します(2004年製作の映画)
3.6
2000年代の初め、日本を席巻した韓流ブーム。この熱狂的なブームはテレビドラマに憧れた女性が中心で、従来韓国映画を観ていた層とは明らかに違うと常々思っていた。この映画、初日初回に行ってきたのだが、かなり観客は多い。監督の前作「猟奇的な彼女」を観ていたら爆笑必至のラストのオチに僕は笑い転げてたのだけど、周りはクスリともしない…。
あれ?
僕以外はテレビでしか韓国ものを見ていない状況だったのかもw

僕のお目当ては黒髪の美女チョン・ジヒョン。彼女の表情を見ているだけで、もうほんとうに幸せ。彼女になら振り回されてもいいや。

この「僕カノ」(略すのは嫌いだけど長いからそう呼びます)には、「猟奇的な彼女」ほどの衝撃と感動ではない。「猟奇的~」のヒロインのキャラが過剰に増幅されたような設定のせい。その為に共感ポイントが見出せない現実離れしたお話になっている。「猟奇的~」は、まだ登場人物の設定が身近に感じられる分感動も大きかったように思うのだ。それにお姫様と王子様の劇中劇だって「またか」と思わざるを得ない。都合がいい部分やこの場面は無理にいらんだろうと思えるものもある。

でも「僕カノ」は決してダメな映画じゃぁない。人を愛し続けることの純粋さが貫かれているのがいい。

話は違うが初期「Xファイル」のエピソードにこんなのがある。身の回りで起る超常現象に悩む女性がいた。ところがその現象は明らかに彼女を守っている。モルダーとスカリーはその謎に挑むのだが、彼女を愛したある男性の霊魂が引き起こしていた、というお話。僕はこのエピソードがお気に入りで、死んでもこんなことができるなら成仏せんでもいい!と心底思った。「僕カノ」に出てくる風の場面は、「Xファイル」のこのエピソードを思い出させた。

監督は多くの映画に影響を受けてきた、とインタビューで答えていた。やたらハトが飛ぶからジョン・ウー?とか思ったりもした。「僕カノ」でやたらみられるのは、登場人物の周りを回り続けるカメラワーク。これはブライアン・デ・パルマが得意とする手法。「僕カノ」では特にヒロインの部屋を風が吹き抜ける様を、部屋全体をみせながら見事に表現していた。

そして付け加えておきたいのは、この年、それまで韓国で禁止されていた日本文化が解禁されたこと。X JAPANのバラードTearsが使用されている。いかにも泣かせます!って使い方ではある。しかし「猟奇的~」同様伏線の張り方が実にうまいので、チョン・ジヒョンのあるひと言の後、一気に僕の涙腺は崩壊。うわっ!そうきたか!(号泣)。
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