青二歳

ストリート・ミュージックの青二歳のレビュー・感想・評価

ストリート・ミュージック(1972年製作の映画)
4.5
ライアン・ラーキンの線画・水彩画アニメーション。これはまだコカインに手を出していない時の制作なんだろうか…ドキュメンタリー“ライアン・ラーキンの世界”('04)では、コカインを服用すると描くのが間に合わないほどアイディアが溢れ出てくると言っていたが…
もう手を出した頃なんじゃないかというくらいですね。イマジネーションの豊かな展開も心掴まれますが、また色が素晴らしく綺麗で。

作品としてはストリートに立つヒッピーなのかビート族だかの若者の音楽に合わせたイメージがただ展開していくだけなんですが、作品自体よりも、その作者の軽やかさを感じさせます。
なんかこう漫画家でいうと石ノ森章太郎を思い出すんですよね…天才肌で筆が早いから思いつくまま色んなことやっちゃう感じが。彼の場合は結果雑になることも多いくらいですけど…
ラーキンはNFBの華やかな時代と少しズレていれば、アニメーションに出会わなければ、別のメディアで何かを残していたんだろう人だなと…感じます。そのくらい気負いを感じさせないというか。マクラレンとかリーフみたいにフィルム削ったりはしなさそう。
アニメーターデビューとなる木炭画の2つの作品は、アニメーションにしてみようという意識が見えるんですけど、水彩画の2つはもうアニメーションの仕掛けは完全に消化してて、どう動かすかに苦心してる感がないように思えます。ラーキン本人はアニメーションを「彫刻みたい」と言っていたそうですが、そう見ると水彩画の2つがノミで立体的にうたれた作品に見えます。
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