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七小福のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

七小福(1988年製作の映画)
4.8
1962年冬、9歳のロン(ヒャオ・ミンクァイ/チャン・ウェイラン)は母に連れられ北京戯学院の門をくぐった。ユー・チェンイン(サモ・ハン・キンボー)が院長を務めるこの学校は、食住を与える代償として「京劇」を学ぶことを義務づけていた。苛酷で厳しい訓練の中、ロンは兄弟弟子のサモ(ヤン・シンヒェン/チェン・チンジェン)やユン・ピョウ(クー・フィ/ハン・チェンウェイ)たちと固い友情を育み、時にはユーの目を盗んで近くの小学生らとのいたずら、喧嘩、バスのタダ乗りといった日々を送っていた。しかし時代の変化のため、せっかくの厳しい訓練の末に体得しても、技を活かす場がすっかり失われつつあるのも事実だった。時が経ち、ロンたちは女性歌劇団“広東フェニックス”と舞台に立つ機会を得た。これは彼らにとって初めての異性との出会いでもあった。女性団員スイ・シンに魅かれるロンだったが、彼女が歌劇をあきらめ学業に戻ると知ると、絶望感にうちひしがれ舞台に穴をあけてしまい、ロンを庇ったサモもユーの追求に遭ってしまう。この衝撃的な事件に追い打ちをかけるかのように、すでに人気を失った京劇は劇場から見切りをつけられ団員は解雇されてしまった。女性団長のマスター・チェン(チェン・ペイペイ)は劇団を閉鎖しアメリカへ移住する決意をした。一緒に渡米するよう誘われるユーだったが、学校や京劇を見捨てることはできなかった。最後に残された手段としてユーは幼なじみのファー叔父(ラム・チェイイン)が務める映画スタジオのスタント・マンとして生徒たちを登録するが、その目の前でファー叔父が転落する。その事件をきっかけに、彼らは映画の世界に入っていくのだった。
ゴールデン・ハーベストとショー・ブラザーズが合同制作した香港アクション映画で活躍するジャッキー・チェンやサモハンなどの京劇学院での修行時代を描いた文芸映画。
スパルタ式の修行で宙返りや武器の操り方などスタントの基本を身につける中、食べ物をくすねたり、女性歌劇団の女の子と恋をしたり、失敗したりしながらも舞台を重ね重ね腕を上げていくジャッキー・チェンやサモハンたちの修行時代が、生き生きと描かれている。
京劇が廃れる中で、ジャッキーたちが映画の世界で夢と未来を見つけたのと、ファーがスタントの仕事にしがみつき降板させられそうになっても狂ったように演技を続ける姿が対照的で、切ない。ジャッキーたちの師を演じるサモハン、女性歌劇団のリーダーを演じるチャン・ペイペイが、印象的。
「カットがかかるまで、演技を続けるんだ。それが、俳優の心得だ」
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