マーくんパパ

マクベスのマーくんパパのレビュー・感想・評価

マクベス(1948年製作の映画)
3.4
オーソン・ウェルズ初めてのシェイクスピア劇の映画化。この後『オルフェ』『リア王』も自ら手掛けることに、シェイクスピア劇の第一人者L・オリヴィエに次ぐ造詣深い映画人とも言える。黒澤明も自身の『蜘蛛の巣城』でこの題材を映画化している、それだけ芸術家には興味湧くテーマなのかも。3人の魔女の予言と妻にも唆されて王を屠って王位を奪ったマクベスだが臣民の亡霊に苛まれ正気を失っていき破滅する。山上の砦中庭をメイン舞台に欲望の根源に取り憑かれた人間の浅ましさをウェルズが大仰に演じる。後の映画もそうだが主従の人物の位置関係と距離感、仰角撮影で自らのマクベスを尊大で異形な輩に見せる工夫にウェルズの映像芸術へのこだわりを感じる。