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マクベス
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『マクベス』に投稿された感想・評価

lemmon

lemmonの感想・評価

2.8
権力を手に入れるまで、そして手に入れてからも疑心暗鬼に苛まれる。

悲劇というか何というか。。。

妻に利用されているかのような王。
王の心理描写に重きを置き描いている。

印象的なシーンはあるものの、独りの男の思い悩みをずっと聞かされているかのようで、正直面白かったか?と言うと、そうでもなかった。

サスペンスなどで、こんな心理になる作品はたくさんあるが、きっとマクベスが地盤なんだろうと思う。

そう思うと原作の与えている影響力はすごいんだなと感じる。
霧がかった画面とか魔女の不気味さとか、冒頭から蜘蛛巣城で黒澤明が参考にしてそうな感じが伝わってきたけど、その蜘蛛巣城の力強さとか同じオーソン・ウェルズ作のオセロの厳粛さと比べたら少し物足りなさを覚えてしまう。(というかこの作品見て黒澤明が自分ならもっと力強い作品に出来ると思って出来たのが蜘蛛巣城だったのかも)

でも詩のような一人語りをモノローグにして幻想的な映像表現を施した点は面白かったし、手前と奥の対比とか同時代の黒澤明作品に共通する構図が多く確認できたのも興味深かった。
erico

ericoの感想・評価

3.8
マクベスという題材の持つ演劇性を十二分に活かしたオーソン・ウェルズの快作。70年近く前の映画でも、意外と素直に楽しめる。明と暗、動と静のコントラストの強烈さ、計算しつくされた画面の構成、無駄のない展開。そのへんが今でも古臭くない。

荘厳な音楽が鳴り響いたと思えば、ふと次の瞬間に静寂が訪れ、そこに佇むマクベスに悲運を予感する。破滅への恐怖から彼は民への支配をより強固なものにしていき、それが結局は破滅を招くというアイロニーが、この物語の面白味なんだろう。原作を大昔に読んだときは、マクベスという野心家の悲劇だなぁとだけ思っていたけれど、彼の権力への欲望は先天的に備わったものというよりは、彼の環境に置かれたとき「やむを得ず」取った選択肢だったのでは、とこの映画を見てはじめて思い至った。

冒頭で彼の悲劇はすでに予言されてしまっていて結末も分かりきってるんだけど、それでも引き込まれるのは、彼の精神が闇に堕ちる過程こそが、わたしたちにとってスリリングだからなんだろう。

シネマヴェーラ

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