三四郎

結婚式・結婚式の三四郎のレビュー・感想・評価

結婚式・結婚式(1963年製作の映画)
4.8
松竹大船豪華キャストで稀に見る大傑作ソフィスティケイティッド・スクリュボール・コメディ!!!!
1960年代大船調の最高傑作、名作ではないかしら!?
家族とは、兄弟姉妹とは、男女とは、日本人アメリカ人の違いとは…と笑いの中にも真面目な話題が入り議論すべき深い内容へと掘り下げていく。愉快な愉快な素晴らしい作品だ!思わず何度も吹き出してしまった!
キャメラが立派な日本家屋を捉え、姉たちが談笑しているところから右隣の弟の部屋にパンする技法、これは戦前のルビッチュ映画でしばしば使われた優雅な鉄板技法だ!
川津祐介が屋根瓦の上でトランペットを吹き、キャメラはそこから左にパンし、立派な日本家屋、屋内、日本庭園を俯瞰で映していく。キャメラワークが流れるようで、実に落ち着いた重みがあった。厚田雄春というキャメラマンは凄いなと思った。

松竹大船調の良さはテンポの良い科白!
岩下志麻の歌舞伎座での医者とのお見合い話。
「私はじめいやだったんだけどお医者さんだっていうからベン・ケーシーみたいなのにあたるかと思って承知したのよ、そのお見合い」
ーそうしたら?
「歌舞伎座の廊下でおばと二人で待ってたのよ、待ってる気持ちって悪くないもんよ」
ー焦らすわねぇ
「そうなのよー、おばがせっかちで30分も前に行っちゃったのよ 相手は正確に来たわ、時間通り」
ー来たの!それで?
「それがね、一目でいけなかったのよ」
ーどうして?
「あたし二階の廊下から見下ろしてたでしょ?おばがあの方よって言うから上から見たら、なんとすでに頭のてっぺん朧月夜じゃない!!」

父親の喜寿のお祝い、次郎こと佐田啓二以外家族全員集合。
山本圭「セブンティセブンかぁ。よくまあ長生きしたもんだなぁ」
父「お前お祝い言ってんのか、それともお悔やみ言ってんのかい」

一番好きなお気に入りシーンは、川津祐介の新聞社に訪ねてくる岩下志麻。お見合いを受け入れて結婚するか否か相談しにくる、いや、というよりもむしろ、川津祐介の気持ちを確かめにくる。
幼馴染だから自分たちには男女の友情ってものがあるわよね?と、まずは確かめて、「のりちゃんの為なら火の中水の中」と川津祐介は気楽に言う。色々話していき、ついに!
「のりちゃん、その人好きなのかい?」ただ事ではなくなる川津祐介。
「好きって言えばもっと好きな人いるわ」
「へーそんな人がいたの、誰?どこの人?」
「ばか、それあなたよ!!」顔を両手で隠し急に泣き出す岩下志麻!もうあまりに可愛くて可愛くて繰り返し見たいシーンだ笑

次女の結婚相手はアメリカ人!これに対する明治生まれの父母の言葉が痛快!
母・田中絹代が「外国人なんて気持ち悪い。あんなゴム人形みたいなの」この科白には驚いた。今じゃ国際結婚に憧れる女がうようよしているが、この明治人の気概、結婚相手は国産に限るというのが時代遅れをさらけ出しすぎてはいるが興味深い。もちろん、私は川津祐介派で「戦争花嫁なんて昔のことさ、外国人も同じ人間で人情があるさ」という意見だけど。

北海道に住む佐田啓二が牧場で家族写真を撮るシーンも愉快だった。子沢山!
「ほーら、おじいちゃんに送るんだから」子供たちはそんなこと御構い無し。東京に里帰りする父親に「機関銃買って来てね!」「わかってるよ、機関銃とピストルと飛行機だろ?物騒な奴らだ!」笑笑
佐田啓二のお嫁さんは次女の結婚問題に関して「生まれてくる子の目が黒いか青いか心配するだけでも嫌だわ」そんな時代もあったのかと思った。青い目や緑の目や灰色の目も美しいと私は思うけど笑

とにかく愉快な映画!松竹万歳!大船調万歳!
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