一人旅

カメレオンマンの一人旅のレビュー・感想・評価

カメレオンマン(1983年製作の映画)
5.0
ウディ・アレン監督作。
周囲に同化してしまう男ゼリグ(W・アレン)をドキュメンタリータッチで描いたコメディ。
太った男と並べば太り、黒人と並べば黒人に、東洋人と並べば東洋人になってしまうゼリグ。極めつけはヒトラーが反ユダヤ演説を行えばそれに賛同すらしてしまうシーンだ。風貌だけでなく心まで同調させてしまう。

『なんで姿を変えるの?』フレッチャー医師(ミア・ファロー)は問う。
『人に嫌われたくないから。できれば好かれたい。』答えるゼリグ。

ヤバい・・・
カメレオンマンは自分のことだ。
自分も人に嫌われるのが怖いから、無理に自分を人に合わせようとしてしまう事がある。
人に反論されて、それまでの自分の意見を覆し、すぐにその人の意見を採用してしまった時、友人に「それやめろ。イラッとする。」って突っ込まれた記憶がある。
相手に合わせるあまり、自分の意見・ポリシーが何もないことにその時気付いた。
カメレオンマンは疑いなく自分自身だった。
でもこういう人って現代人、特に日本人は多いんじゃないかな?
画一性を求められる日本においては、みんなと同じであることが良しとされやすい。
しかも本音と建前という独特の慣習が存在する日本では、相手に合わせやすい環境が揃っているわけだ。
でももう少し“自分”を持ちたい。
他人と衝突してもいいから。
一人旅

一人旅