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カメレオンマンのodyssのレビュー・感想・評価

カメレオンマン(1983年製作の映画)
2.5
【昔のウディ・アレンはイマイチ】

最近はともかく、昔のウディ・アレンが作った映画はあまり好きじゃない、というかそんなに見ていないのですが、今回、30年前に作られたこの映画をDVDで初めて鑑賞して、やっぱりそうだよなと思いました。つまり、そんなに面白いとは思えないのです。

たしかにモノクロ画面で戦前を思わせる画面がたくみに作られているところは見事です。或る種の懐かしさをうまく演出している。しかし、他人種にも変身できるという主人公の設定が、何の必然性で作られているのかがよく分からない。

また、一見ドキュメンタリー風な作りですけど、ドキュメンタリーというのは肝心な場面が欠けている場合が多くて、つまり肝心なときにいつもカメラマンがいるとは限らないからですけど、この映画はそういう制約が感じられなくて、いかにも作り物だな、と思えてしまう。スーザン・ソンタグらのインテリの登場も、別に、という感じで。インテリといえば女性教授も出てくるけど、女としての魅力が感じられないし、かといって知識人として理論的な解明(変身の)をするわけでもなく、何なんだろうな、と首をひねってしまう。

要するに映画的な面白さと昔のアレンにありがちなインテリ的な料理法、これが相反しているのです。最近のアレンの映画が面白いのは、インテリ的な料理法をやめたから。その辺を改めて痛感させられた作品でした。
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