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カメレオンマンのkeroleonのレビュー・感想・評価

カメレオンマン(1983年製作の映画)
3.7
周りに溶け込もうと、次々とその姿かたちを変えてしまう摩訶不思議なとある男の物語。
精巧に撮られたドキュメンタリー調のモキュメンタリー作品。

83年の映画だけど、この頃のウディ・アレンて攻めてたんだな〜。
カメレオン人間!なんつーハチャメチャな設定だけど、実はこれって普遍的な問題提起。
「愛されたい!」「周りに受け入れられたい!」から自分を変える。周りと仕方なく合わせる。
そうしてくうちに本当の自分を見失ってしまう。。
舞台は1920年代のアメリカでも、いやーそんなの自分には当てはまらないね!と、一体ここ日本でも何人が言えるだろう。

それを救い出すのが「真実の愛」なんて、ちょっとディズニー映画っぽい??

いやいや、そこはやはしウディ流。
尋常じゃなくセンスのいいウィットと皮肉がそこかしこにピリッとキラッと散りばめられてます!
ヒヤヒヤもんのヒットラーのシーンから劇中劇に移行、からのインタビューでバッサリ!というシークエンスは笑えたな〜

最後は現代のアメリカ社会へのアンチテーゼがありつつ、やっぱりhappyかつクスッと笑わせられるエンディング。

一見現代社会や人生を憂う、下がり眉毛のペシミスト。でも実は必ず作品に「逃げ」を用意してくれて、魅力的な人物像を描き出してくれる。
だから何度もかかりたくなっちゃうんです、ウディ・アレンの魔法。

2014.11.9
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