CU

ペパーミント・キャンディーのCUのレビュー・感想・評価

4.0
この作品では、キム・ヨンホという男の人生の現在から過去まで、約20年間を巻き戻してゆく。

プロローグでは仲間たちが20年ぶりに集まってピクニックをしている場所に、ヨンホが突然現れて場を荒らす。

そして、暴れながら鉄橋の上に登り、列車に轢かれる寸前に「帰りたい!」と絶叫。すると、彼の現在から過去の記憶が、まるで列車が線路の上を走るように巻き戻されてゆくのだ…。


人生のどこで何を間違い、何を失ってしまったのか。やり直そうとしても、時すでに遅しの彼の人生。

今やヨンホは、何もかもを失ってしまった。仕事も家庭も恋愛も。20年前のピクニックが、まるで夢のようである。あの頃は何もかもが美しかった。

しかし、失われてしまったものは、もうそのままの形では決して戻ってこない。そして過去には帰れない。

戻って来ない過去であっても、記憶の中には過去は存在しており、だからこそ思い出すことは出来ても、その時間に帰れないことが、後悔をさらに増してゆく。

いっそのこと、全てを忘れることができたら、今の悲しみも辛さも感じることはないのに。

そんなことを、この作品を観ながら考えていた。かなり前の映画だけど、今の時代にも通ずる名作だと思います。

おすすめです。
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