この作品では、キム・ヨンホという男の人生の現在から過去まで、約20年間を巻き戻してゆく。
プロローグでは仲間たちが20年ぶりに集まってピクニックをしている場所に、ヨンホが突然現れて場を荒らす。
そして、暴れながら鉄橋の上に登り、列車に轢かれる寸前に「帰りたい!」と絶叫。すると、彼の現在から過去の記憶が、まるで列車が線路の上を走るように巻き戻されてゆくのだ…。
人生のどこで何を間違い、何を失ってしまったのか。やり直そうとしても、時すでに遅しの彼の人生。
今やヨンホは、何もかもを失ってしまった。仕事も家庭も恋愛も。20年前のピクニックが、まるで夢のようである。あの頃は何もかもが美しかった。
しかし、失われてしまったものは、もうそのままの形では決して戻ってこない。そして過去には帰れない。
戻って来ない過去であっても、記憶の中には過去は存在しており、だからこそ思い出すことは出来ても、その時間に帰れないことが、後悔をさらに増してゆく。
いっそのこと、全てを忘れることができたら、今の悲しみも辛さも感じることはないのに。
そんなことを、この作品を観ながら考えていた。かなり前の映画だけど、今の時代にも通ずる名作だと思います。
おすすめです。