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ペパーミント・キャンディーのmasaのレビュー・感想・評価

3.8
前から観たかった韓国名作。

『オアシス』のイチャンドン監督。ソルギョング、ムンソリ主演。

冒頭鉄道自殺しようとする男の、過去20年に何があったか、時間を遡って描いていく。

名優ソルギョングの名演技。没落していく男の人生のはかなさ、切なさが心に沁みいる。
そして初恋の思い出。ペパーミントキャンディ。終盤の若い頃の純粋さが心に残る。
なぜ人は生きるのだろう。

韓国現代史を背景に1人の男性の20年間を描き、韓国のアカデミー賞である大鐘賞映画祭で作品賞など主要5部門に輝いた人間ドラマ。
「オアシス」「シークレット・サンシャイン」のイ・チャンドン監督が1999年に手がけた長編第2作。
99年、春。仕事も家族も失い絶望の淵にいるキム・ヨンホは、旧友たちとのピクニックに場違いなスーツ姿で現れる。
そこは、20年前に初恋の女性スニムと訪れた場所だった。
線路の上に立ったヨンホが向かってくる電車に向かって「帰りたい!」と叫ぶと、彼の人生が巻き戻されていく。
自ら崩壊させた妻ホンジャとの生活、惹かれ合いながらも結ばれなかったスニムへの愛、兵士として遭遇した光州事件。
そしてヨンホの記憶の旅は、人生が最も美しく純粋だった20年前にたどり着く。

1999年春。鉄道の高架下で男ヨンホは全てを失ったいま、過去を振り返っていた。
3日前、ヨンホは危篤状態にある初恋の相手、スニムを見舞う。
数年前には行きずりのバーのホステスにスニムの面影を見る。
さらに3年前、新米刑事のヨンホのもとにスニムがやって来るが、彼はそっけなく追い返してしまう。
その4年前には兵役についたヨンホを訪ねたスニムだが面会許可がおりなかった。
そしてその1年前、青年ヨンホはスニムとこの高架下で互いの将来を語り合っていた。

家族を捨て銃を購入し、死にたいと思い続けている中年のユンホと、ラストの川辺に咲く花を初恋のスニムに渡す純粋なユンホも同じ人間なのである。
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