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スパイク・リー監督の戦争映画だ。
黒人差別問題もきっちり描いている。
ミステリーとしての側面もある。
長尺だが全く退屈する事なく鑑賞できた。
実に素晴らしい作品だった。
1983年、ニューヨーク。
ある黒人の男が突然一人の白人男性を射殺するという事件が起こる。
一体なぜ。
時は遡り1944年、イタリアのトスカーナ地方。
第二次世界大戦真っ只中だ。
この頃のイタリアは既に降伏しており、枢軸国側ではない。
かと言って一概に連合国側とも言えない、ややこしい状況だ。
ただし、この頃のイタリアはほぼドイツ軍の占領下にあり、連合国側がこれを奪還しようとしていたという状況だったのだ。
更に、イタリア国内では反ドイツの機運が高かった事も付け加えておきたい。
トスカーナに話を戻そう。
アメリカの黒人部隊が渡河作戦を敢行した際、ドイツ軍の待ち伏せと味方砲の誤射により壊滅的な状況に陥る。
スタンプス
ヘクター
ビショップ
トレイン
4人の黒人兵は命からがら逃げ延びる。
途中で一人のイタリア人少年アンジェロを助け、ある村にたどり着くのだ。
周りはドイツ軍だらけ、無線は通じない。
4人はこの村で潜伏する事に。
この作品には様々な要素があるが、私はまずミステリーとして観ていた。
冒頭の射殺事件の加害者と被害者は誰なのか。
その犯行動機は何なのか。
イタリア人少年アンジェロについての諸々。
結構、終盤まで謎を引っ張ってくれるので非常に興味深く鑑賞する事ができたのである。
この作品のメインテーマからは外れているかもしれないが、なんせ私はミステリーが大好きなのだ。
三度の飯の次の次くらいにミステリーが好きなのである。
あのような魅力的な謎を提示されたら、当然引っ張られるに決まっているのだ。
実に上手い構成だと感じ入った次第である。
ラストは若干出来すぎ感があるが、素直に泣けたものだ。
反戦や差別問題などのテーマも勿論、私の心に響いた。
それはもう響き過ぎるほどに。
しかし、紙面には制限がある。
(ないよ)
その辺りの感想はまた別の機会に・・・