久しぶりのスパイクリー映画は、戦争という悲惨な状況下でありながら、黒人差別にのみ焦点を当てて捉えると、心温まる物語でさえあった。
若い頃のスパイクリーは、差別を描く手法として黒人至上主義を掲げ、白人と対等な存在となることへの激しい想いが感じられた。
この作品では、戦場という場所で、戦いながら人種差別と闘わないですむ居場所を見つけた安らぎすらのようなものを描くことで、祖国のために戦う黒人兵士の感情で本質を表現していた。
言語も人種も超えて運命を共にする捨て駒のような扱いを受ける黒人部隊とトスカーナの村人。
そして同じ神に祈りながら人々が殺しあう戦争に改めて非情さと無力感を感じる。