南宮龍八

ミスティーの南宮龍八のレビュー・感想・評価

ミスティー(1992年製作の映画)
3.0
韓国人留学生のケント(カン・ソッキョン)とマーク(チョン・チョリャ)は同じ学校に通う中国人学生のチャーリー(グロリア・イップ)に出会いどちらも一目惚れする。しかし心の優しいケントはマークの気持ちを考えて一歩引いた形でチャーリーを見つめる。そんな生活を送っていたある日、2人はちょっとしたトラブルから不良グループと喧嘩となりそれが原因で退学させられてしまう。チャーリーの運転手でボディガードのハンク(梁家輝)は2人に目をかけチャーリーの養父チャン(李子雄)が経営するクラブで働けるよう手配する。しかし実はチャンは中国マフィアのボスであった。ハンクはチャンの情婦サリー(呉家麗)と深い関係にあり組織から逃亡する事を考えていた。しかしその計画はやがてチャンの耳に入り、サリーは拉致される。ケントはチャーリーをマークに預け、ハンクと共にチャンの屋敷に乗り込むが・・・

韓国と香港の合作でオール・イギリス・ロケ。韓国公開版の原題は「霧の中でもう2分」。香港では1992年に「霧都情仇」のタイトルで先行公開された。監督は香港のピーター・パオ(鮑徳熹)。日本でも80年代後半に人気を博していた香港のアイドル女優グロリア・イップ/葉蘊儀がアイドルのイメージを脱出しつつある時期に出演した作品である。当時のグロリア・イップは今の韓国で言うならばムン・グニョンのような存在だろうか。日本版ビデオは英語吹き替えでグロリアの声はちょっと間抜けな感じで笑える(笑)不思議なことに韓国版ビデオも同じ英語版だが劇場公開時の韓国語版を観たいものだ。韓国からはカン・ソッキョンとチョン・チョリャが出演しているが、2人とも当時の韓国では人気俳優だったのだろうか?主役扱いなのにあまり印象に残らないカン・ソッキョンは実はこの映画の韓国側プロデューサー、シン・ソンイルの息子である。前半はグロリアと韓国人2人を巡る三角関係のラブストーリー、後半はグロリアの養父、李子雄に関係する裏社会の愛憎劇となりノワール・アクションに変貌。グロリアのお抱え運転手兼ボディガードを演じる梁家輝が実質的な主役と言って良いだろう。裏社会から抜け出そうとする李子雄の情婦である呉家麗の末路、カン・ソッキョンの報われない愛と人生など韓国ティストが垣間見れるが、韓国人俳優2人に存在感が無さ過ぎるのとラブストーリー、アクション共に中途半端で盛り上がりに欠ける点が気になった。

08/10/04
南宮龍八

南宮龍八