まだまだ『グラディエーター』より前の
ホアキン・フェニックス主演作品。
なんだかヘンな映画だ。
サイコスリラーなのに緊迫感がない。
殺人シーンでも軽快な音楽が流れる。
というのも舞台となるこの田舎町では
殺人よりも“人のウワサ”のほうが凶悪だからだ。
シリアルキラーであるレスターは主人公クレイのウワサの種をことごとく刈り取ってくれる大親友なのだ。
だから他のサイコスリラーものとは違い、恐怖の対象にはならない。
クレイにとっては問題を片付けてくれる上に善人ヅラまでさせてくれる救いの神だ。
クレイに都合の良い舞台装置。超越者。
きっとレスターは田舎町に追い込まれたクレイが産み出した存在であり物語。
そういえば、
クレイは最初の赤信号はなんとか急ブレーキで止まる。
レスターと乗っている時はブレーキランプは点かない。
レスターと別々の道を行く時には片方だけブレーキランプは故障している。
そしてレスターは警察とともにクレイとは逆方向に走り出す…。
ラストでブレーキランプを司ったのはどちらなのだろう。
緊張感はなくとも、やはりこれはサイコスリラー映画なのです。