このレビューはネタバレを含みます
トリュフォーのお気に入りらしいが、その情報を知らなくてもなんだかすごくヌーベルヴァーグっぽい。ざらっとしたフィルムの生々しい感触とか、荒いカメラワークと編集とか、「近くに知り合いの変わったカップルがいたんでとりあえずカメラをまわしました」みたいな感じのドキュメンタリーっぽさ、とか。そういった質感、手触りがこの映画の怖さを一層引き立てている。
しかし基本は「ラブ・ストーリー」。
ある一線を超えてしまうところがすごく自然だ。結構重要なところをあっさりと省略しても感情のつながりがわかる。
嘘の「ラブレター」ではじまり本物の「ラブレター」で終わる、この一風変わった「恋愛映画」を観ると、まったく感情移入できないどうしようもない欲の皮が突っ張ったエゴの塊のような二人に対して、全否定できない、なんとも言えない気持ちになる。
一言で平たくいってしまうと、切ないのだ。