LEONkei

ハネムーン・キラーズのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ハネムーン・キラーズ(1970年製作の映画)
4.5
『俺たちに明日はない』の〝ボニー&クライド〟…。
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の〝ミッキー&マロリー〟…。
『トゥルー・ロマンス』の〝クラレンス&アラバマ〟…。

絶対に離れない離れられない深い愛の鎖に繋がれ、ある意味華やかで高潔な絆で結ばれている。

描き方は真逆でもこの映画の主人公〝マーサ&レイ〟もまた…。

狂った愛は理性を消失させ、異常な脳内ドーパミンが増幅し崩壊へ突き進む。

実際に起きた〝ロンリー・ハーツ・クラブ・メンバー事件〟を元に作られ、男女のカップルが逃避行を続けながら犯罪を繰り返す悲惨な事件。

男性経験のまったくない看護婦長の中年女〝マーサ・ベック〟が、彼女を見かね友人が勝手入会した〝文通クラブ〟である男〝レイ・フェルナンデス〟と知り合った事が全ての始まり。

決して愛してはいけない男に心酔してしまった、中年女の悲しくも悲惨な最も危険な行為。



人間描写が実に自然で家庭の8ミリカメラで撮ったかのような、派手さはないがリアリティ溢れドキュメンタータッチで人物を描いている。

オペラの作曲家で映画監督としては初作品の〝レナード・カッスル〟だからこそ表現でき、素人臭く雑に見える映像も寧ろ緊迫感を持たせる。

なんと言っても中年女〝マーサ〟役の〝シャーリー・ストーラー〟の演技は素晴らしく、イラつき・嫉妬感・恐怖心・哀れみと異常な偏愛表現は絶賛したい。

処女作にして最高傑作のフィルム・ノワールを作り上げた〝レナード・カッスル〟が、この作品しか作らなかった理由が自分には良く分かる。



『ハネムーン・キラーズ』の〝マーサ&レイ〟…

また新たにココロに刻まれるカップルになるだろう..★,
LEONkei

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