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リトル・チルドレンのらのレビュー・感想・評価

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)
3.9
『TAR/ター』に劣らずものすごい映画だった。『マグノリア』や『アメリカン・ビューティー』を連想するほど滑稽でシニカルな群像劇。観ながら心底「人間社会が嫌」だし「自分が人間に生まれたこと自体も嫌」と思ってしまったが『TAR/ター』と同様"やり直し"の物語でもあって、決して厭世的な作品ではない。

正直言って自分には、どうしようもない(状態に陥った)人間に、他人事とは思えない(善悪を超えた)シンパシーがあるし、"やり直し"は今の時代の極端な空気や傾向を考えても重要なテーマであると思う。16年の歳月を経てもなお、引き続き同じ主題を変奏しているトッド・フィールドの作家性が見えてきてより好きになった。
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