藍紺

リトル・チルドレンの藍紺のレビュー・感想・評価

リトル・チルドレン(2006年製作の映画)
4.3
ボストン郊外を舞台に住民たちが織りなす群像劇。アメリカ映画にありがちなシチュエーションですが、流石はトッド・フィールド!クライマックスの切れ味が凄い。絶えず不穏さが漂っているので常に緊張感が付きまとうのだがこのラストは読めなかった。

この題名の「リトル・チルドレン」は子供たちっていう意味ではなくて、未成熟な大人たちのことなのでしょう。些細な出来心から不倫してしまうサラとブラッド、過去のトラウマに囚われる元警官ラリー、そして小児性犯罪で服役し出所してきたロニー。なかでもロニーにおこった一部始終は一生忘れられない。

私自身この世で最も憎むべき犯罪は子供への性犯罪だと思っている。よってロニーの行動は到底受け入れることはできない。でもロニーにも彼を愛してくれる母親がいるということ、そして彼自身も罪の意識に苦しんでいるということ、その事実に処罰感情が揺らぐ。ロニーを許せない気持ちの方が強いのに、彼のある行動に胸が張り裂けそうになって堪らなくなってしまった……。ラストに入るナレーションのセリフにはトッド・フィールドの想いが込められているんですかね。手帳に書き留めてしまいました。
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