イチロヲ

ゲゲゲの鬼太郎のイチロヲのレビュー・感想・評価

ゲゲゲの鬼太郎(1968年製作の映画)
3.5
ニューギニア探索に招聘された鬼太郎が、自己保身のことしか考えていない青年科学者の策略に嵌められ、巨大海獣の姿に変えられてしまう。第1期テレビシリーズの「大海獣 前後編」を、東映まんがまつり用にブローアップさせている作品。

勧善懲悪の妖怪バトルではなく、人間の驕り高ぶりのせいで、何も悪いことをしていない鬼太郎がトバッチリを食らうパターン。自我が膨らんで「オレがオレが状態」になっている科学者が、鬼太郎を妬み卑しんだ挙げ句、奇妙な特効薬を投入させてしまう。

巨大海獣となった鬼太郎が路頭に迷い続ける展開が大半。自衛隊とメカ海獣に追撃され、空からピカドンまで落とされるのだが、ブチギレることなく「所詮、人間のやることだからねぇ」というシラけた態度を貫いていく。ここが、初期鬼太郎の大きな醍醐味。

鬼太郎の声を演じているのは、今や声優界の女帝となった野沢雅子。声質と演技力に個性が滲み出ており、唯一無二の存在であることを痛感させられる。大塚周夫のねずみ男も独特の味があってサイコー。
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