空海花

キリクと魔女の空海花のレビュー・感想・評価

キリクと魔女(1998年製作の映画)
4.0
人類発祥の地アフリカを舞台に
大きな好奇心を抱く小さな英雄“キリク”の冒険を描いたアドベンチャーアニメ。
フランス公開時には130万人を動員する大ヒット。
アニメーション映画としてはフランス映画史上歴代興行収入第1位を記録している。
監督・原作・脚本は、ギニアで幼少期を過ごしたというミッシェル・オスロ。
音楽はアフリカを代表するセネガルのミュージシャン、ユッスー・ンドゥール。
日本語版の製作はスタジオジブリ
翻訳・演出は高畑勲。
フランス=ベルギー=ルクセンブルク合作。

キリクの生まれた村には、魔女カラバの恐ろしい呪いがかけられていた。
泉の水は枯れ、魔女を倒しに出掛けた男たちはみな食われてしまったという。

「お母さん、ぼくを生んで」
キリク誕生から驚きの連続。
キリクちっちゃ~い!かわいい!
パースがよくわからなくなるくらいちっちゃい(笑)あと速い(笑)
好奇心いっぱいのキリクには疑問がいっぱい。
生まれながらに知恵のあるキリクは、
叔父や子供たちを助けたりしながら
賢者のおじいちゃんが住む《禁じられたお山》へ旅に出る。

鮮やかだが複雑な色調やタッチで描かれるアフリカの風景の画は、
ゴーギャンやルソーを思わせ、
植物や動物が出てくると特に、プリミティヴィスム、マジックリアリズムを思い起こす。
独特な世界観が大きな魅力である。

魔女とも対峙するが、
「桃太郎」が鬼退治に行くという感じではなく、
「魔女はどうして意地悪をするの?」という疑問が彼の根底にある。

ツッコミどころ、というか子供なら
「なんでなんで?」と笑って楽しめるが
海外のおとぎ話のアニメというよりは
寓話と考えればストンと落ちる。
生まれてすぐ言葉を発するのはまるでお釈迦様のようだし
魔女が魔女になった理由も、何の喩えであるか大人ならばわかるはず。
その上で子供たちへのメッセージが伝わってくると、奥の深さに唸ってしまう。

見終わってから知ったが、キリクの声は子役時代の神木隆之介くん。
何て知的な子供の声なのだろう。


以下、感想としてネタバレにしておきます⚠️


ただやられた報復や悪の成敗ではなく
理由を知り、原因を取り除こうとするキリクの姿勢は、
暴力より知恵を。ということ。
そして、それをまっとうするには目的への粘り強さ、信念や勇気が不可欠。
真実を知らずに恐怖を増大させたり、
相手を悪者に仕立て上げたら、
仮に力で勝ったとしても、無知の極みを証明しているだけかもしれない。
そう、なかなか痛烈。
様々な事象がそこに含まれるのは想像に難くない。
フランスでの大ヒットも頷ける良作。


2021レビュー#191
2021鑑賞No.427


海外アニメにも触手が伸びる今日この頃♪2も観たいな~
U-NEXT見放題は今日まで!😱
なので今日中にアップです🙇‍♀
空海花

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