高橋早苗

キリクと魔女の高橋早苗のネタバレレビュー・内容・結末

キリクと魔女(1998年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

アフリカらしい、色鮮やかさが目を引く。


自らの意志で生まれた
ちいさな子 キリク

強い好奇心を持ち
村から水を奪い 黄金(きん)を奪い
男たちを奪い貪り食うという魔女カラバに 真っ向立ち向かう

『どうしてお前は 意地悪なのか?』


あんぐりと口を開けて驚くカラバを気にもせず
彼は問い続ける

『ぼくは キリクだ
 したいことはひとつ
 ぼくは 知りたいんだ
 どうしてお前は 意地悪なのか?』


その『なぜ?どうして?』を
行動に変えて
ちいさな子どもが 村を救うお話


クライマックスの
カラバとキリクのやりとりに
パートナーシップを強く感じた

魔女カラバは苦しんでいる
物語の中では 詳しくは語られないけれど
男たちに 押さえつけられ苦しめられた女の
苦しみと憎しみ
それがカラバに 大きな力を与え
カラバを魔女たらしめている

その背中に 深く打ち込まれた「毒入りのトゲ」


毒入りのトゲを抜かれるようなことがあったら
あの苦しみをまた味わうことになると 怖れている
だから彼女は その秘密をひた隠しにし
誰にも背中を見せない

彼女は 怒りと憎しみで武装し
自分ではそうとも思わずに
いまも苦しみを味わい続けている


キリクは
彼のルーツといえる存在<お山の賢者>に会い
魔女カラバの秘密を知り
『ぼくが トゲを抜いてやる』と言い放つ

『出来なければ死ぬ』とまで言い切って。
彼なりのリスクの取り方
そしてその通りに実行する


苦しみと憎しみ 怒りを手放したカラバ
『私は自由なんだ!』と喜び
目の前に立つちいさな子を前にして
『この感謝の気持ちを どう表せばよいのだろう』と戸惑う

キスをねだるキリク
カラバが唇を重ねた時
ちいさな子どもは大きく成長します
男になったキリクが 優しくカラバを見下ろす
『ほらね
 お前は失ったわけじゃないんだ
 力のすべてを』

欠けたもの同士が
ぴったりとくっついて
完璧な円を描いたように 観えたのよね^_^


子どもの「なぜ?どうして?」を
よく表わしているなと感じる
フランス語の響き

Pourquoi!
高橋早苗

高橋早苗