kuu

タワーリング・インフェルノのkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『タワーリング・インフェルノ』
原題The Towering Inferno.
製作年1974年。上映時間165分。

20世紀フォックスとワーナー・ブラザースが別個に企画していたビル火災の映画を合作、文字通りのオールスター・キャストで映像化した掛値なしのパニック超大作。

製作はアーウィン・アレン、
共同製作はシドニー・マーシャル、
監督はジョン・ギラーミン、
アクション・シークエンス監督はアーウィン・アレン、
脚本はスターリング・シリファント、原作はリチャード・マーティン・スターンの『ザ・タワー』、トーマス・N・スコーティアとフランク・M・ロビンソン共著の『ザ・グラス・インフェルノ』(どちらの小説も、1970年代初頭の世界貿易センターの建設と、超高層ビルの火災で何が起こる可能性があるかに触発されたそうです)、
出演はポール・ニューマン、
スティーヴ・マックィーン、
ウィリアム・ホールデン、
フェイ・ダナウェイ、他。

地上135階、シスコにそびえ立つ超高層ビル“グラス・タワー”落成式の日。規格外の製品を使ったために起きた出火はやがて巨大な炎となり、最上階に何百人も閉じ込めたままビルを飲み込む。。。

平日昼に放送してるNHKBSプレミアムシネマは旧作メインやけど、毎回面白いのが多い。
今作品も個人的に善き作品だなぁと思ったし、これこそ昔ながらの何も考えず華やかでサスペンスフルなエンターテイメントの最高峰なんだと思えた作品でした。
当時の古今東西のスターの大群をドレスアップさせ、世界一高いビルに突っ込み、マッチに火をつけて、その行く末を見守るってな感じかな。
この壮大な作品は、約半世紀経った今でも通用するような映画スターや効果を含んでたけど、2001年9月11日以降、不当に悪者にされてた今作品。
それも、少しずつ下火になってるのかな。
『突然燃える高層ビル』についての映画を見たり楽しんだりすることは、2001年9月11日以降は暫く適切なものでなかったはず。
WTC(ワールドトレードセンター)に起こったことは、魂のある人なら誰でもショックを受けた。
せや、舞台の種類を除けば、その最近の悲劇とは無関係なこのハリウッド史の作品への愛情が薄らぐことはないんじゃないかな。
燃え盛るビルの中に閉じ込められた何百人もの人々が命をかけて闘う姿を描いた映画を面白いと思うのは不思議なことなんかな。
いや、そうかもしれないが、しかし、シュワちゃんやブルース・ウィリス、そしてスタローンの映画で、観客の目の前で何十人もの人が惨殺され、観客がもっとやれと喝采するのを面白いと思うのと同じくらい不思議ではないんじゃないかな。
少なくとも、この映画はヒロイズムに重点を置いているし、登場人物たちが自分たちが許してしまったことに後悔し、消防士が職務を全うするために冒すリスクを示している。
それはコキじゃない、さておき、この画期的な作品(2大メジャースタジオが1つの作品を手がけた初のコンビ)で、魅力的なキャスト(1990年以前の映画を知っている人なら、たまらないやろうなぁ)が活躍し、見事に結果を出してると思います。
ポール・ニューマンは、夢を持ちながらそれを手から離してしまった、わかりやすい常人として完璧に演じてたし。
事件に対する不信感や、それを食い止めようとする無駄な努力は、信じられへんて感じで、マックイーンは厚かましいヒーローではなかった。
口は悪いが、芯の通った思いやりのある男。
彼がこの役に与える重みと、ニューマンとの相互関係が、この映画を特別なものにしてました。
フェイ・ダナウェイは夢のような人で、彼女の一挙手一投足、一瞥が最大のインパクトと注目を集めるように計算されてました。
彼女はメチャクチャ美しく(そこは旨く活用されていないが)、ニューマンとのカップルは応援したくなる存在でした。
群衆のシーンで、彼女がゴージャスなドレスを操り、集中力を持続させる様子はタマりま1000。
ホールデンは、官僚的な建設業者を完璧に演じ、皆を喜ばせることに忙しく、何が起こっているのかわからないし、
他のキャストも各々のキャラを見事に演じ、それぞれの役に命を吹き込み、場合によっては映画の思い出を一世代分蘇らせているかな。
今作品の後、1990年代、
"ディザスター "
ちゅうジャンルを活性化し、若返らせようとする試みが映画界では行われた。
観てる側は、考えうる限りのあらゆる種類の大混乱と混沌に見舞われたが、それらの映画のクソも多かった。
そして、個人的には『タイタニック』を除く多くの映画には、1970年代の映画のほとんどに備わっていた一つの要素が欠けていた。
それは、『華やかさ』やと思います。
とは云え、面白い作品は沢山あるのは確かやけど。
見知らぬ国の、見知らぬ町のトンネルが吹っ飛ぼうが、小さな町が壊されようが、納屋が吹っ飛ぼうが、多くが気に止めない。
しかし、豪華客船や豪華なプライベートジェットや世界一高いビルがトラブルに見舞われりゃ、人々の注目を浴びることになる。 
それに、その辺にいるジーンズとTシャツの人がうす汚れたらどないするんやと、気に止めるひとは少ないけど、イブニングドレスや宝石、タキシードで試してみると、視覚に訴えるような瞬間が生まれる。
フェイ・ダナウェイがジーンズでタワーの屋上にいるところなんて想像したくないかな。
世知辛い言葉やけど、物語においては、美しいものが破壊される悲劇にこそ、興味をそそられる。 
今作品では、すべてが華麗で豪華やけど、終わってみれば大切なものだけが残っている。。。
それは映画の物語としては悪いとこなどないんじゃないかな。
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