紫のみなと

タワーリング・インフェルノの紫のみなとのレビュー・感想・評価

4.8
この映画は紛うことなき傑作だと思います。初めて観たのは数年前でしたが、それまでこの映画の存在も知らなかった私‥どうして知らずに生きて来れたか謎です。
超高層ビルの火事がテーマですが、同じパニック映画として「タイタニック」が頭に浮かびます。どちらも極めて映画らしく、ストーリーのディテールまで非常によく練られ、それぞのキャラクターの描かれ方も申し分なく、あらゆる示唆に富み、長時間でありながら無駄なシーンもありません。
悲劇に向けて刻まれゆく時間の経過のリアリティがすごい。しばらく本気で火事恐怖症になります。
なんといっても消防隊のカリスマリーダー演じるマックイーンが、この、消防隊のプロ中のプロであるヒーロー的な役割にほんとに相応しく、消防士さんの職業倫理というものを浮き彫りにさせます。
他、往年の大スターが数多く出演しており、中年のウィリアムホールデンは胡散臭さが絶妙で、フェイダナウェイもいささか出来過ぎの女性を演じていますが、露出計の高いドレスで避難したりして、めちゃくちゃ綺麗。ニューマンは安定の演技だと思います。

個人的に私はナタリーウッドの大ファンなのですが、本作にはウッドが生涯2度も結婚したロバートワグナーが出演しており、割と早めの段階で、逢引していた愛人と焼死してしまいますが、いつもニヤケ顔のワーグナーが全然好きじゃないので、ウッドはどうしてこんな早々と死ぬ役の俳優と2度も結婚したんだろう‥と、本来泣けるシーンのはずなのに全然関係ない想いに囚われて毎回勝手に悔やまれてなりません。