真鍋新一

北京原人の逆襲の真鍋新一のレビュー・感想・評価

北京原人の逆襲(1977年製作の映画)
3.5
『ゴジラvsコング』の余韻に浸るにはうってつけの映画だった。特撮は造型、合成、カメラワーク、どれをとっても最高(もちろん当時の技術レベルでの話だけど)。あまり日本で良い作品が残せていなかったこの時期の東宝特撮陣のフラストレーションがここで爆発的に発散されているような気さえしてくる。香港市街のミニチュアのネオンも凝っていて、三共製薬に東芝にNECと、すでに日本企業のロゴもチラホラ。

おそらく人間ドラマのパートがあまりにも陳腐すぎるので酷評されることも多かったのだろうが、むしろその大雑把なところが香港映画の潔さという感じでそこもかなり楽しんで観られた。ヒロインの中国語ができる白人の女ターザン(設定がメッチャクチャ)はいくつかのシーンで衣装から左の乳首が出っぱなしで、そっちに目が行ってしまってしょうがない。

音楽は1977年ということもあって、フュージョン、ディスコ、メロウソウルと無駄にDJ受けしそうなものばかり。こんな具合に各要素のバランスがガタガタなのに勢いで90分見せ切ってしまうというのもB級の華の極み。それが本当に不可解なんだが、この面白さはどういう仕組みになってるんだろう。
真鍋新一

真鍋新一