くりふ

北京原人の逆襲のくりふのレビュー・感想・評価

北京原人の逆襲(1977年製作の映画)
4.0
【ホングコングの逆襲】

'76年版コングの便乗作。

当時のコング特集誌を古本屋で見つけてみたら、ショウ・ブラザースには『キングコング対ジョーズ』制作の噂があったそう。自分で流したの?で、嘘ついた報い?か本作、制作が遅れ本家の翌年公開。本公演後に出る前座、みたいな倒錯が漂ってしまったシーズンオフ哀愁作。

が、その熱血娯楽(+エロ)魂は、ピージャク版含めた本家を凌駕しています。タラちゃん(サザエさんに出ない方の)も惚れ、後で自社レーベルからDVD発売したとか。

ヒマラヤの奥地に大北京原人現る!という昔の新聞記事を山師一行が発見!TOP記事なのに探検ラッシュ起きてなかったようだし、香港版東スポ(か)と思うのですが、人面魚だって実在したし!と考えたのか一行捕える気満々。目的地不明のまま、トホホな餌で隊長スカウト。

で、実に手早く探検開始。さすがの香港商魂。…まあ、手抜きとも言えますが。

ヒマラヤの奥なのに、海岸らしき断崖絶壁を登ったりしますが、ジモティーバイト君がお約束通り落ちてくれるので、免じて許します。いやがる虎を捕まえんとするの図、にしか見えないのに、野生の虎が襲ってきた!と一行、パニクるそぶりも見せますが、こちらもジモティーバイト君がやられてくれるので、免じて許します。

そんなこんなで道中、ファニーなトラブル続出で、まったく飽きません。しかしいつの間にか、数名に残ったジモバイ君たちがみな、顔を黒く塗った香港人だけになっているのは、どんな謎があるのでしょう?

が!この辺り、オマージュですからバカにもできません。1933年のオリジナル『キング・コング』作者、クーパー&シュードサックが、その前に作っていたのが、こんな野生の(やらせ)ドキュメントなんですね。

『チャング』では本作の原点、虎の襲撃、象のスタンピートがしっかり登場。それらを恐竜にスケールアップしたのが『キング・コング』なのですから!…でもな本作、予算なくて虎と象に先祖返りしたって方が正解なんかな?

で!ジャングルサービスの頂点は、獣皮ビキニの女ターザン登場!

金髪美人、という呼称にまだ、魔力があった時代の申し子のように、いかにも欧州美人・プチナイスバ、なイヴリン・クラフト姉さんが、片乳ポロリ警報常時発令状態で、全編とんではねて、服、着たがりません。

うっかり見逃すと、リモコン戻るサーチを連発する羽目になります。…後で見た予告編では、本編にはない全ポロリしてましたけどね。明らかに公開前の客寄せです。うそつき。DVDでよかった。

しかし、ここまでやってくれたら、ジェシカ・ラングよりナオミ・ワッツより、イヴリンに全面降伏です。ちなみにクレジットは「伊美蓮嘉」。…伊東美咲?

素肌に獣皮ってのも、得も知れぬ芳香が画面から漂いああ素敵。ほろよい。でもあのビキニ、劇中では一張羅ってことみたいだけど、洗ってんのかな?生理の時なんかどうしてんだろう…干し芋でもはさんでんのかしら?

んが!彼女にクラクラする裏に、文化的に劣る金髪美人を飼いならしたい!…というアジア男の願望が潜んでいるらしいことも、見逃せません。

そして当時、香港はまだ英国統治下にあり。非ヤンキー娘な欧州美人を使い、両親の遺品には英語の日記を残すとなれば、レディ・ターザンの国籍に、「ホングコングの逆襲」が込められていることは、ジャングルの中で暮らす彼女が何故か、芸能人は歯が命レベルの白い歯をしてること程に、明白だ!

んでもさ!終盤への展開、本家に似過ぎてませんかね?問題なかったの?でもコレ、ひょっとしてピージャク版よりずっと、エモーショナルかも!?

手にダグダグの汗握って、大泣きできます。…という錯覚に浸れます。女ターザンはなんだかもー、SM状態になってましたけどね。

ペキンマンの被りものが、アップの時以外はまったく表情変わらずに、お面被った銀行強盗みたいに見えなくもないのが、難点ではありますが。

最後!例の名セリフ、本作の場合は、「美女も野獣もぶち殺せ!」だっ、すげえ!あー、お腹いっぱいっ!!

<2013.1.10記>
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