うにたべたい

北京原人の逆襲のうにたべたいのレビュー・感想・評価

北京原人の逆襲(1977年製作の映画)
4.3
香港版キングコング。
ラウレンティウスがキングコングリメイクする話を聞きつけた香港ショウ・ブラザーズが、香港でもキングコングをやりたいと考えて準備したが、版権が取れず、パチモノを作るもできた猿人の造形がキングコングに似すぎていたためリテイク。
作り直しているうちに大魔神の黒田監督を含む日本人スタッフの就労ビザが切れてキャンセル扱いになったり、なんやかんやあって丸2年半かかってようやく完成したという経緯のある作品です。
クイーンコングの件といい、ジョン・ギラーミン版キングコングは話題に事欠か無いですね。

そうしてできた香港版キングコングこと、北京原人の逆襲ですが、クイーンコング同様、カルト的人気が非常に高い作品です。
香港映画らしいハチャメチャな展開なのですが、ストーリーのテンポがめちゃよくて面白い。
さらに特撮のできもとても良くて、怪獣特撮映画として非常に満足なものとなっています。
本家のキングコングを知っている方が内容の比較ができて楽しめるとは思いますが、個人的にはキングコングに比肩し得る、隠れた名作だと思います。
ネタ扱いされることも多いですが、決して馬鹿にできない作品です。

ヒマラヤの奥地に突如出現した北京原人の噂を聞きつけた香港の興業師・ルーは、これを捕まえて見世物にするため探検隊を結成する。
主人公はこの探検隊の隊長・チョウで、恋人を弟に奪われ、ヤケ酒を煽っていたところルーにスカウトされます。
基本的にストーリーはキングコングリメイクなどではなくオリジナルな展開をしており、怪獣モチーフが巨大な猿である、見世物として連れ去られる、巨猿がビルをよじ登るシーンがあるなど、キングコングを彷彿させる場面はあるものの、基本的には別作品です。
北京原人の元に辿り着いたチョウは、そこで北京原人に育てられたというターザンのような女性と出会うのですが、この女性が全編を通して全裸同然のビキニ姿で行動します。
尻は食い混んでるし、乳も限界ギリギリでいつ飛び出すかハラハラしながらガン見していたのですが、中盤で当然のように乳首解禁、それどころかレイ○未遂シーンがあったのでびっくりしました。
なお、本編ではスローで見えるというレベルですが、予告では丸出しの乳が拝めます。
でもそういうこっちゃないんだよな。

身長25mの巨大な北京原人が登場します。
普通の北京原人は当然こんな巨大ではないのですが、この異常に巨大な北京原人の発生について、本作中では一切説明がないです。
"体長25mの北京原人が出た" → "捕まえて見世物にしよう" という超短絡思考が中国映画らしくて凄く清々しいです。
なお、この北京原人はバランやマタンゴなど、東宝特撮の多くを担当した村瀬継蔵氏による造形です。
この辺りの経緯は色んなサイトさんが解説しているので興味があれば読んでみるのをおすすめしますが、本作の特撮は日本の技術者が多く参画していて水準が高く、ビルの模型や、最後、火達磨となった北京原人など、かなり凄いシーンになっているので、特撮好きは一見の価値ありです。

特撮史上においても、カルト映画好きの方にも履修は必須の1作だと思います。
ちなみに、主演はダニー・リーで、ダニー・リーとショウ・ブラザーズといえば、"インフラマン"という映画が想起されます。
こちらも併せておすすめします。