デニロ

芝居道のデニロのネタバレレビュー・内容・結末

芝居道(1944年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、「撃ちてし止まむ」と出たので、フィルム間違っているんじゃないかと思ったが、次にタイトルが出て、1944年製作公開。戦争の真っ最中だから必ず入れていたのかな、と解釈したものの、他にこんな字幕観た記憶もない。

原作長谷川幸延、脚本八住利雄、監督成瀬巳喜男。長谷川一夫、山田五十鈴の恋愛芸道ものだが、興行師の古川緑波の時勢、芝居への思いが主人公のようなものだ。古川緑波は、手元で可愛がっている役者長谷川一夫が天狗になっているのを見て、彼の成長のためにはここらが突き放す時だと冷たくあしらう。また、長谷川一夫と恋仲になっている山田五十鈴に彼とは切れてくれと頼みに行ったりもする。傷心の長谷川一夫は請われて東京に行く。が、そこでの仕打ちも只ならぬもので、もはやこころを入れ替えて精進するしかなかった。

どこかで見聞きしたような話ではあるのだが、三者の思いが錯綜してねじ曲がったりばらけたりして緊張する。その緊張をほぐすのが緑波の娘花井蘭子。頑固な緑波の思いにより小屋に人が入らず、窮しても質屋通いで工面したり、山田五十鈴の思いに寄り添ったり、只ならぬ共感力を示す。

日露戦争の時代の話だが、旅順攻略の提灯行列等を出して戦争を強調している。浮かれていると碌なことにならない云々の台詞も交え、1944年の戦況はかなり厳しかったと思うのだが、どんなつもりで戦争を背景に入れたんだろうか。
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