1938年の鶴八鶴次郎、1943年の歌行燈ときて、1944年の芝居道
成瀬のこの頃の芸道ものは、山田五十鈴という名女優を得てとても輝いている
冒頭の「撃ちてし止まむ」の広告に、映画がプロパガンダとして使われた時代の作品だと意識させられる
日露戦争だかで湧き立つ日本を舞台にして、兵士の苦労を芝居で庶民に伝えるべきだとか、清貧を旨とすべしみたいなメッセージが発されるのがまさにそれなんだが
そんな意図がある映画でも、成瀬の手にかかると大傑作になってしまうことに心底驚いた
旗行列の人影や戦勝の花火が、優れた演出道具になるんやからすごい