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善人の条件のkoockyのレビュー・感想・評価

善人の条件(1989年製作の映画)
3.6
当時、松竹系映画館で全国ロードショー公開された作品です。普段見ることのできない選挙戦の裏舞台をシニカルに描いた作品です。

一般の知識人が徐々に狂気に染まっていく候補者を演じる津川雅彦の熱演が熱いです。「熱演」に輪をかけて「熱い」と表現してるのですから、それはもう相当な熱さなんです。
良いですよ、津川さん。
監督を務めたジェームス三木の演出も昭和的な泥臭さを含みつつ、裏・山田洋次と言えなくもない名演出を施しており、格調高い作品に仕上がってると思います。

実は私は学生時代に映画館でバイトをしており、この映画のフィルムを映写機に掛けて回しておりました。だから映写室に詰めてる時は朝から晩までずっと同じ映画を観ることになるのです。トラブルなく最後まで無事に上映できたらホッと安心もしますし、ありがとうという作品に対する感謝の念とともに愛着も湧いてきます。
でもお客さんの入りはものすごく悪かったですね、一日の総入場者数が20人切ってた日もありました。本当に邦画はお客さんが入らない時代だったんです。

などと、話が横道に逸れてしまい申し訳ありませんでした。
この映画、なぜかテレビでも一度放映されたくらいだし、配信もされてないし、未だにDVDも発売されてないようだし、なかなか陽の目を見ない不遇な作品と言えるかもしれません。
今こそ、この映画が再評価されてもいいのではないかと思います。
私はこの映画好きですよ。
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