評判良いので楽しみにしていたけど、思っていたほど楽しめなかった。
正義中毒の寺島進は今日の社会の入り口的な登場人物で面白かったけど、後半、書き割り的な悪事な政治家になって人を抑圧していくというのは、彼の行動原理からすると一貫性に乏しく感じられた。この物語の構造でいくなら、むしろ市民運動的なものが抑圧的な監視社会になっていくというベクトルに傾いていく方が実像に近いような気がした。
終わり方は切なくて素敵だったけど、こういうシリーズだからこそ、二人はどこにもいけなくても良いから、今でも「そこにいる」と思わせてほしかったなー。ヌーベルバーグ、アメリカンニューシネマ的にはこれで正解なんだろうけど。
実際この後の日本は人が集い、微熱を醸し出す「街」が消えていくわけだから、そういう意味での批評性というのはさすがという他ないけれど。