のーのー

勝手にしやがれ!! 英雄計画ののーのーのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

最終作はまさかのヴィジランテもの+世紀末ディストピアもの!そんで傑作!

寺島進の出てきて一発でもう普通じゃないのがわかる佇まいがおかしい。白寄りのグレーのパーカーというスタイリングも効いてる。
前半はいつも通り主人公二人とおかしな奴らのトボけた交流が楽しい。そんな中トラヴィスというよりクリムゾンボルトやカイケツ小池さんに近いダメ・ヴィジランテな青柳と、しょうもない憧れだけで偽ヤクザとして暮らしている雨宮の2人がとても味わい深かった。誰に迷惑をかけるわけでもなくバカなりに自分の生き方を貫き、憎まれながら黙って去っていくことで住民の混乱を鎮めた雨宮のほうが、派手に持て囃される青柳や雄さんよりもよっぽど英雄じゃないか…!と思ったところで、町の人に啖呵を切る雄さんにグッときて思わず泣いた。

耕作の放ったカバン(あれはわざとなのか天然なのか微妙なところが耕作のキャラの底知れない魅力!)から拳銃が画面にポンと出てきたところから話が大きく展開し、後半はガラッと空気が変わる。
字幕は出るわ派手な音楽はかかるわシリーズ一手の込んだ長回しモブシーンはあるわで、ここまで大胆にジャンルシフトする黒沢作品も珍しい。(あとはSeventh Codeとか。)
余談だけど、高橋ヨシキの『激怒』がかなり本作と共通点が多いのが気になる。舞台の町の名前まで同じだし。ヨシキさんこの作品見てる?

これまでのシリーズでゲストキャラ達を「ここではないどこか」へと送り出しながら自分たちは何処へも行けなかった二人は、荒唐無稽なクライマックスで曖昧な存在になり、何処へもいけないまま散っていったのか、それともついにどこかへ旅立っていったのか…と余韻を残すラスト。最後の最後はあの演出とあの人物で終わるのが、まさしく黒沢清作品を見ているなあという気分になった。

雄二に耕作、それから由美子に先生、楽しい6作品をありがとう!またどこかで逢おう!
のーのー

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