人間の“手のひら返し”に唖然とした。肩書きに左右される人間たちの姿がエグいなぁ。悪意ではなく、善意の罪を描いた作品。西川監督、相変わらず嫌なところを突いてきます。
過疎化した村の診療所の医師・伊野（笑福亭鶴瓶）が失踪したところから始まる物語。村人と伊野と研修医（瑛太）の明るいやりとりから、次第になぜ伊野が失踪したのかの真相に迫っていく。
高齢化が進む田舎の医者不足の現状や終末医療などの社会的テーマも垣間見えつつ、最後は恋で終わる軽やかな幕切れ。少しホッとしつつも、ふわっとしてしまった印象も。いつもの西川作品よりは毒は少なめ。
鶴瓶の映画初主演作。村人とのやりとりはNHK『鶴瓶の家族に乾杯』を観ているように自然体で適役。いつもテレビで鶴瓶を観ていて、あの笑顔は本物なのか偽物なのかわからず少し苦手意識があったのだけど、あのイメージがそのまま作品になっていた。西川監督は『蛇イチゴ』でも宮迫博之を使ってドハマリしてたけど、キャスティングが上手いなぁ。
すべてを知って受け入れている余貴美子さんの役どころがよかった。八千草薫さんはいくつになっても美しく、チャラい瑛太が意外と真面目で微笑ましい。
