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ディア・ドクターのstanleyのレビュー・感想・評価

ディア・ドクター(2009年製作の映画)
4.2
なんとも無責任な作品。 

これ、賛辞です。 

『映画』というものが誰のものであるか、 
それを改めてかみ締めることができた。 

この作品が善いものか、悪いものか、 
それは、観る人それぞれ。 
ただただ、観る人にテーマを訴えながらも 
ご自由に解釈くださいと言わんばかりの放置プレイ。 

人それぞれに思うことがある作品だと思います。 
それは、やはりテーマの問題提起だけに留まらず 
描写、脚本の流れ、役者の表情にいたるまでが 
この『映画』というものにこだわっているんでしょう。 

お話はよくあるお話なのですが、 
この構成がよりおもしろくしている。 
重要な一点へ向かう過去と 
その重要な一点から派生する現在とが 
断片的に盛り込まれていて 
形で言うと砂時計の上下のお話が交錯するようになっています。 

この過去と現在の交錯が、 
よりテーマの不明瞭さ、この作品の無責任さを表している。 
とても効果的な脚本だと歓心する。 

役者さんたちは、 
この脚本でどう考えてこの演技をしたのだろう。 
もしかしたら、役者さん任せだったのかもしれない。 
もう一度作りなおしたら、まったく別の印象を受けるかもしれない 
そんな印象が拭い去れない演技でした。 

娘と観たのですが、 
なんでこうしたのかな?こうだからじゃない? 
えー、こうだからだよ 
って会話ができるってことは 
子供にもいろいろと想像させられるようにできてるってことです。 

ひとつひとつのシーンに 
ひとりひとりの解釈ができて 
エンドロールで自分なりの映画が完成する 
そんな無責任な映画です。 

でも、きっとこれが『映画』なんです。
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