映像の光と陰影のコンストラクト、端々に醸し出される静謐な美しさのセンスは、市川崑テイストそのもの。
でも、これプロットの要所要所は、「脚本協力」となっている永六輔によるところも大きかったのではないだろうか。
銀行強盗… かと思いきゃ核爆弾のボタンだった!…とか、子ども向けにしては仄かにポリティカルな匂いもする。
そのあたりが、いつもの市川崑にはないところである。
孤独なジージョがある夜ひょんなことから赤い風船と意気投合して物語が展開していく。…というのも、よくよく考えたら酔狂な設定である。
ただ、こういったプロットも、自分が子どもの時に初めて観ていたとしたら、夢中になっていたのかもしれない。
ということで、多くの人に知られているアニメ版トッポ・ジージョとは違い、ちょっぴりダークで切なくもある物語だけど、子どもでもこのスリリングな展開にハラハラしっぱなしであろう作品になっていて、さすが市川崑。