しゃけ造

世界女族物語のしゃけ造のレビュー・感想・評価

世界女族物語(1962年製作の映画)
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世界の女性に関する文化や風習を描いたドキュメンタリー。ただ、ヤコペッティがそういう監督なので当然だが、ヤラセが満載で、ドキュメンタリーとしてバカ真面目に見る作品ではない上、体はあくまでドキュメンタリーなので、フィクションとして楽しむことも難しい宙ぶらりんのモキュメンタリー。なので描かれる内容に意味を見いだせず、個人的な感想としてはシンプルにおもんない。
しかし、作品自体は面白くないが、なぜ面白くないかと考えると、中々おもろいこの映画。おもんない映画には脚本とか演技がクソというのはよくあるが、この映画のクソさは、時代がモンドに面白さを見いだせなくなったため、という非常に独特な理由をしていると思う。この映画の面白さである、虚実入り乱れた揺らぎから来る「不謹慎な未知へのワクワク」は、現代では通用しない。それ故、今見るならこの映画はおもんないと言わざるを得ない。
この映画だけではないのだが、インターネットが普及し全世界の情報が瞬時に手に入るようになった今、モンド映画の虚構性は無意味なものとなった。そうなってしまえば、この手の映画は嘘を大真面目に語るだけの滑稽なものと化してしまう。フリークスが現代では流行らないように、時間と空間に担保されたモンドの虚構性は失われた。ヤコペッティに限らず、モンド映画は現代ではもう流行らないだろう。その意味で、映画史を見ているような感慨深さがあった。現代見る価値はまったくないが、当時の人間の面白さの基準、世界観を知り、トリップのできる作品だと思った。