ミシンそば

八月の鯨のミシンそばのレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
3.9
誇張なしに映画そのものと共にあった女優リリアン・ギッシュと、誇張なしに映画を制して一時期それ自体の顔だった女優ベティ・デイヴィスが姉妹役と言う、贅沢も贅沢、あまりに贅沢過ぎるキャスティングで魅せてくる。
脇を固めるのもヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリーJr.、全員一回は名前を聞いたことがあるレベルの名優しか出て来ねえ!

だが単なる名優共演もの、として作られていないことは明白で、主演の姉妹は完全にギッシュ、デイヴィスの人物像を嫌でも投影してしまううまい作りだ(二人の話を聞く限りでは、実生活は全く異なる…当たり前だが)。
本当になんてことのない、ゆっくりとした時の流れをこちらも追体験する、と言うだけなんだが、落ち着いて、ゆったりとした気持ちで終始見ることが出来る。

観終わった時、感動するでもなく、演出の拙さに怒りを覚えるでもなく、自然と「何かいいなあ」と言いたくなるような小さな佳作。