カラン

八月の鯨のカランのレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
3.5
夏になると、妹のサラ(リリアン・ギッシュ)の海辺の家に、姉のリビー(ベティ・デイビス)と幼馴染が集まってくる。八月は岬から沖を泳ぐ鯨が見えて、サラと戦死した夫の結婚記念日がある。。。


冒頭、セピアで若い娘時代の姿が映る。鯨が見えるとはしゃいで、転がりながら走って、古風なボンネットまで純白の3人の娘が岬にやって来る。2人が立ち、1人がお嬢様座りをして、一所にかたまる。双眼鏡を貸してと回しあい、ロングショットで静止する。この後、時代が移ろい、カラーに変わる。

このプロローグを観ていて、心配になった。遠方を双眼鏡で見ようとする人はわざわざ座らないだろう。冒頭のこうしたありふれた月並みな美的構図が悪化することはなかったが、最後まで続く。本質的にかまととなのである。真相を探究しないし、安易である。

妹役のリリアン・ギッシュは撮影時は93歳。1910年代のグリフィスの映画に出ていた人である。姉役のベティ・デイビスは79歳だった。白内障で目が見えず、嫌われ者の性格が顔の骨格を歪めてしまったのか、口元が飛び出て捩れてしまっている。夜、真っ白い髪で真っ白い寝巻き姿でうわごとを言いながら、ふらっと歩き出す。こうしたことは彼女一流の芸なのだが、別にこの映画でないと観れないわけではない。


レンタルDVD。55円宅配GEO、20分の13。
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