あおや

八月の鯨のあおやのレビュー・感想・評価

八月の鯨(1987年製作の映画)
3.9
元来私には「長生きをしたい」という願望がない。無論若さゆえに豪語できることであるとは理解しているが、この老姉妹のように夫に先立たれ視力までも失った状態で、それでもなお生きようとすることはとてももの悲しいように思えてしまうのだ。
しかし、それでも人生は飄々と続く。死への諦めと生きる希望が共存した姉妹の生活はまさに老後の日々そのものだ。この夏、鯨は訪れないかもしれない。けれど今年来なければ、来年を待てばよいのだ。
2人が亡き夫を想うシーンは何度でも観たくなる。案外人というものは目を閉じるその瞬間まで、1人きりにはならないのかもしれない。
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