イホウジン

ダ・ヴィンチ・コードのイホウジンのレビュー・感想・評価

ダ・ヴィンチ・コード(2006年製作の映画)
3.7
世界史好きには堪らない歴史ミステリー

タイトルの割りに「ダ・ヴィンチ・コード」それ自体は冒頭の冒頭でしか登場しないのには、やはり驚かされる。映画用のタイトル改変ならまだしも原作もそれらしいので、もはや笑いすら込み上げてくる。
とはいえ「イエス・キリストは神か人か?」という問いの壮大さと、その追及の中で出てくる様々な世界史的な事象の再分析は、リアルな世界史に絶妙に虚構を挟み込んでくる形となっており面白い。《最後の晩餐》然りニュートンの墓然り最後のあの場所然り、現実にある場所をそれに絡めてくるから尚更だ。日本で言うところの司馬遼太郎史観みたいなものだろうか。
ただそのダイナミックさの影に隠れて、物語のテンポや登場人物同士の関係性の深め方など、2時間半もある映画にしては大雑把に感じる場面も少なくなかった。結局歴史ミステリーなのか、今発生している殺人事件を追う物語なのかも最後まで曖昧なまま進行するし、最後も全てが集束するような構成に達しなかった点も惜しく感じる。
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