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SPIRIT スピリットのmatchypotterのレビュー・感想・評価

SPIRIT スピリット(2006年製作の映画)
3.6
最近の香港“ジャッキー”ラッシュから少し角度を変えて、、、“ジェットリー”、言うほど角度は変わってないが、変化は変化。

1900年ごろに実在した中国武術家の物語。
カンフーアクション全面の賑やかな映画かと思ったら、思いのほか重いというか、切ないというか。

中国武術は単なる強さや勝ち負けにこだわるモノではない。
それを体現した、その精神“スピリット”の礎の1つとなる逸話を持つ伝説の武術家。

“天津一”を目指し、父の教えを超えることに躍起になってとにかくひたすら己の力の誇示に必死になり絶えず挑戦を受け入れては相手を駆逐しまくるジェットリー。

その強さ、しなやかさ、速さ、破壊力、は本物で、向かうところ敵なし状態。いよいよ“天津一”の名を欲しいままにしようとしていた矢先、悲劇は起きる。

武術の道に没頭し、強さを求めて、明け暮れた代償は余りにも大きく、彼を奈落の底へ突き落とす。
そして、彼はその道からドロップアウトする。

そのドロップアウトした先で、今まで気付けなかったこと、見向きもしなかったこと、感じてこなかったことに出会う。

失うモノもあれば、拾うモノもある。

自分の拳、鍛錬の積み重ねは何のためか、その磨きに磨いた技は何に使うのか。
強さと自分の存在価値だけを追い求めてきた彼にとってそれが脆くも崩れ去り、まさに“破滅”を経てゼロからの“再生”の物語に。

武術は強さだけではない。
そして、失ったものは帰っては来るわけではないが、命ある限り生きて、学び、悔い改めれば、どん底であっても見える光もある。

武術とは、まさにその1つの手段でしかなく、強者が強者を駆逐するための闘う道具にあらず。
悔恨と後悔と絶望を経て、彼は今までと全く違う意志を持ち、再び立ち上がる。

ジェットリー、やっぱりカッコいい。
ジャッキーチェン、ドニーイェン、アンディラウ、トニーレオン、、、傑出した香港スターたち。

彼らが演じるカンフーやアクション、武術も、こういう思想に先立つものであるはずだと思えてくると、この作品だけではなく、武術全体からアツいモノが感じられる。

激しさと悲しみの中で、とても尊いモノを伝えてくるまさに“スピリット”な作品。
最後の展開、なかなかドラマチック。

そんな作品に中村獅童が出てるのが、日本人としてとても誇らしい、、、中国語は口パクっぽいけど、まぁ致し方ない。
でも、見せ場としては申し分なし。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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F:2196
M:1980
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